合気道七級審査
昨晩、合気道の七級審査をうけた。七級というのは入門してから20日くらい稽古した人が最初にうける審査で、進級というよりそれをもってようやくほんとに「入門」というようなそんな位置づけのものである(だと思う)。
たった4つの超基本技を先生や先輩方の前で演武する、それだけのことなのだが、1ヶ月前くらいから同期の仲間たちとそわそわして居残り練習などもして、当日の朝もみぃこに「ちょっと技受けてくんない?」といって動きを整理したりして緊張して臨んだ審査では、途中で頭が真っ白になりつつも、ゆっくり丁寧に神経を行き渡らせて演武することができた。仕事があって本来の審査日に集まれない我々09年入門組(マツウラくんは一足先に6級)のために特別に審査日を設定してくださったモンマ先生も言葉を探しつつ「大変すがすがしい演武であった。このすがすがしさを忘れぬよう今後も稽古に励まれたい。これからを楽しみにしている」と講評された。
合気道をする限りはやっぱりハカマははきたいよねカッコいいし、とは思う一方(男子は段位ホルダーじゃないとハカマははけない)、それでもまあ進級はべつにしなくてもいいやくらいに思っていたので、自分でも意外だったんだけど、なんというか、うれしいのである。七級だけど、ちょっと誇らしくさえあるのである。そして、ほんとうに、ようやく入門した、という気持ちなのである。ふと「これが『初心』ってやつなのかもなぁ」なんてことを思い、こうして書き残してみたりしているのである。
「進級は別にいいや」という考え方の中には、段位にこだわるのはいやらしい、という気持ちも少し含まれていて、確かに段位だけでとらえようとすれば語ろうとすれば合気道そのものとは関係ないいやらしいことになってしまうのだけど、でも「段位だけで語ろうとすること」は運用の誤りなのであって、段位システムそのものの是非とはまた関係ないのである。まだ直感のレベルでうまく説明できないけど、段位システムには先人が生み出した知恵なんじゃないかという気がする。
とにかく仲間たちの前で緊張して節目を迎えるのはとてもいい。みな「おめでとう」とちょっと大げさなくらいに祝ってくれる。実際に自分が審査を受けるまでは、七級とか五級でなんであんなにうれしそうに「おめでとう」と言い合うのかよくわらかなかったけど、今はわかる。これは七五三とかと全く同じ通過儀礼であり「節目」なのだ。
とかなんとか、あれこれ言葉を尽くして合気道のことを語ろうとしていること自体、実は自分でもちょっと驚きなのである。というのも、始めたのはちょっとした事故みたいなもんで、昨年5月に道場に見学に訪れたのも引っ越してたまたま近くに道場があったから気まぐれにお邪魔してみただけで、その時はほんとに入門してしまう展開は考えてなかった。
まあ、内田樹さんの語ったものとかマンガ(例えば安彦良和『虹色のトロツキー』ね)とか甲野善紀さんのDVDとかの影響で合気道にはずっと興味があって(きほんブッキッシュw)、それに40を過ぎた「後期人生戦略」のなかで、なにか「そういうもの」が必要になることも感じてはいたんだけど、定期的に稽古に通うなんて今の生活じゃ絶対ムリだと思っていた。
実際、今でも行けたとしても週に一回だけ、しかも昨年の夏も年末年始も一月以上一度も稽古に出られなかった、というそんなペースである。だから七級をうけるまで、暦でいうと10ヶ月もかかってしまった。それでも、「これるときにきたらいいんですよ。ゆっくりやりましょう」と快く(じゃないかもしれないけど)そんなスチャダラを許容してくださるおかげもあって、なんとかなってしまっている。
実を言うと時間のことだけじゃなくて、稽古に出かける前にはめんどくせーなーと思うことはままあって、というのも、稽古は先生のお手本を見たあと、二人で組んでその技を掛け合うという流れで進行するのだが、入門したてのころはお手本も見ても訳がわからず「えーと」といってまごまごしてるうち終わってしまうので、組んだ相手に申し訳なくていたたまれなくなる、という独特のめんどくささがあって、出かけるのがおっくうになってしまうのである。でも、いまはお手本をまねするくらいは出来るようになってそのおっくうさはなくなったし、七級のイニシエーションを経て共同体という意味でも入れてもらえた感じだし、それになんといっても技の動きが日常の動作にまで組み込まれてしまって、もはや続けるとかやめるとかって次元の話じゃなくなっちゃってるのである。おそろしい。あまりにおそろしいので、仲間を増やそうときょろきょろしているこの頃なのある。むふふ
神武錬成塾(合氣会宮城県支部)泉教室では4月の水・金の19時から体験教室で稽古を体験していただけますよ〜
“身体を通して時代を読む (木星叢書)" (甲野 善紀, 内田 樹)
“虹色のトロツキー (1) (中公文庫―コミック版)" (安彦 良和)
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