夏は来ぬ
昨日から仙台もようやく夏日!
夏日になったと思えば、
太陽の輪郭がぼやけてもやのかかった
そしてやたらと湿度が高い、
熱中症に最適!というような一日。
盆前の草刈りの最後のチャンスだなーと
思っていた日がこの気候だ。
ムムッと息をつめてがんばる。
ホンダの4ストをぶんまわす。
ヨモギの大きく育ったやつとか、
ススキのようなものはナイロンじゃ
歯が立たないので、鎌ででザクザクと刈る。
小さな虫どもが泡食って飛び出す
ヘビさんもパニクって逃げまどう。
草を刈る意味は単に
刈ると気持ちいいから。
それ以外にほとんど意味はない。
勝手な人間を許せ、
と心で念じつつも
草の勢いに負けない気勢で
バリバリと刈る。
これが「タマの汗」ってやつですかっ
って汗をだくだくとかく。
これが「ゴキュゴキュ」ってやつですねっ
って音でがぶがぶと水をのむ。
すでに水浸しのタオルで、
ぐりぐりと汗を拭く。
みぃこも僕も熱中症寸前、
気持ち悪くなりながら終了
完璧、とは言えないが、
近隣の人たちにそれなりにすがすがしく
お盆を過ごしてもらえるくらいには
すっきりした。
家に帰って、
汗ばんだ肌がミチミチくっつく畳に倒れ伏して
なにはともあれ、少し寝る。
起き上がって、
すこしぎくしゃくする身体で
頭からザブザブとシャワー
いやー、気の通りがよくなりそうだね!
草刈りや
玉の汗や
そのあとの水浴びを
気持ちいい!
という風に思うのは
歳のせいだと思う。
なにか草刈りのようなもので
すっきりしたくなる
澱のようなものがたまっていくんだと思う。
上がってさっぱり着替えて
扇風機の前にゴロン
間髪を入れずおそってきた
すでに肌がぺたぺたする
ロクスケの肉弾攻撃を
「ぺたぺたするからあっちいけー」
とかわしつつ、
形はわるいけどごろごろと
肥大化した本日大収穫のオクラの食べ方を
やっぱ「夏カレー」でしょう!と決め、
料理はみぃこにまかせて、
昼から「スイカくわせろ
スイカくわせろ」とうるさかった
ロクスケの念願をかなえてやるかと
ビーサン履きで買い物に出かける。
猫にちょっかいをだしたり、
歌をうたったり、
すでに黒いシルエットになっている
樹木の形を「モランがでた」とか
「モリゾーとキッコロだ」とか言ってみたりしながら、
ぬるい空気の夕暮れの坂道を
ロクスケと手をつないであるく。
スーパーでは
スイカはこっち
ヨーグルトはあっち、
と、とーちゃんよりも
よく把握してる。
スイカは種とスジが少なそうなのを
選んだのだけどロクスケは
「たねがないね」と
ちょっと残念そう。
いまうちでは
さとうわきこ『すいかのたね』が
流行っていて、
「え!これでもつまらないかい!ええ!」
と悪態をつく種がないのは
スイカとしてどうなの?
というような気持ちだったのだろう。
最後に、
おかーさんから特別にお許しのでた
カップアイスをかごにいれて、
「アイスが溶っける」
「アイスがとっける!」
とかけ声をかけながら
こんなどうでもいいことの方が
いつまでも記憶に残ったりするのかもしれないな
なんてことをふと思ったりしながら
また夕暮れの坂を上る。