ワナ
CREEKの左チャンネルに音源によっては
かすかにビビリがはいって気になっていたのだけど
ついに音が出なくなってしまったので、
1月頃に通勤路沿いに開店したことは気づいていて、
いつか行ってみようと気になっていた
オーディオ修理屋さんに持ち込んでみる。
売り物のスピーカやアンプ、
修理品ががうずたかく積み上げられた
12畳くらいの狭い店で、
パソコンで帳簿管理らしきことをしていた
ニットキャップでひげ面の若い衆が
「いらっしゃい」というと、奥から
ortofonのロゴがプリントされた作業着を着た
初老のおじさんが出てきて、
「ほぅ、クリークですか」
「いくらまでなら修理しますか?」
とかなんとか一通りの話を終え、
伝票を受け取って、
じゃよろしくといって立ち去ろうと
顔を上げたところに
ぬっとコーヒーカップがでてきて
若い衆が「どうぞ」という。
さらにすかさず、
僕の「あ、もう終わったんで」という言葉を
言わせないかのようにおじさんが
「時間ありますか?」ときた。
その辺の、ワン・ツーみたいな
絶妙のタイミングぶりに、
笑ってしまいつつ
「ええ、だいじょぶですよ」といって
ちょっとの間オーディオ談義をする。
そんなに数は多くないんだけど、
スピーカはオランダやドイツなどヨーロッパのメーカーが主で
アメリカのも昔のJBLの紙コーンのフルレンジなど
すっごい僕好みのラインナップで
結局盛り上がってしまう。
おじさんが、とっておきを出してくるときの「悪い顔」をしつつ
「トランス変わるだけでこれだけ違うんだよ」
といって、peerlessのトランスをつんだチューブで
JBLのLE-8Tにツイーターユニットを
くっつけた改造品をならしてくれたんだけど
これがすごかった。
大げさではなく、とりはだがたって
不覚にもやや涙腺がゆるんでしまった。
ココロを直接なでられたような
やさしくぬくもりがある音。
チューブは味が付きすぎていてあんまり
好きじゃなかったんだけど、
やっぱ結構好きかも。
っていうかピアレスのトランスすげぇ!
この店では、結構若い衆が
集まってはああでもないこうでもないと
やっているらしく(よくあることだが)、
中の一人がピアレスの音がどうしても聴いてみたい
というんでおじさんが客から借り出していたのが
たまたま店に置いてあったのはラッキーだった。
っていうか、不幸だったのかもしれない。
僕の自作電流駆動アンプの
トランスをピアレスにして、
ついでにコンデンサもスチコンアレイに
しちゃったりしちゃったらどうなってしまうのだろう・・
とか、すごい久しぶりに悪いことを考えてしまい、
そうこうしているうちにCREEKが直ったと連絡があったので、
受け取りに行ったときに
ピアレスでな、な、なにを聴かせてもらおうか、
とソースが頭の中をぐるぐるし、
ぜったいCREEKでLE-8Tを鳴らさせてもらうんだ、とか、
僕のノーチラスを持ち込んでチューブで
ならしたらどんなことになるんだろう、とか、
ポワポワと頭にいろんなことが浮かんでしまい、
オーディオ心は仙台に来てから
せっかく眠っていたのに
どこにワナが仕掛けられているか
わかったもんではない。