よるべなく
おじさんとかおばさんには
ずいぶんかわいがってもらった
年齢的にはむしろあっちに近くなった今でさえ
まだそんなことがときどきある
国立に住んでたころ、
ヒッピー長屋の近くの
食料品店(個人経営のね)に
よく行ってたのだが、
そこのおやじが僕の買い物かごの
その日のラインナップをみては
「ちょっとまってね」
といって奥に引っ込んで
店に並べる前の肉だの野菜だのをもってきて
「これこれこうして食うと、んまい」
とアドバイスしながら
ふくろに放り込んでくれるのだった。
飯田橋に住んでたころ、
駅前のカウンターステーキ屋の
ならびの小さなカレー屋でカレーを食ってると
50がらみなのに少年みたいな少女みたいな
おかみさんがだまってサラダだのなんだのを
トンとおいてくれるのだった。
「なんであんただけ」といいつつ みぃこの説は、
「かわいそうに見えるんじゃない?ふふん」
という、なんか納得いかねぇ!ものだったのだが、
やっぱり職場の年配の人に親みたいに
かわいがられてるってやつがいて、そいつを見てると
かわいそうっていうんじゃ全然ないけど
僕にもやっぱどこかポツネンとしたところが
あるのかもしれないなと思ったりもする。
考えてみれば食い物がらみなことが多いのも
「ほれほれ、食え食え」と、のら猫にエサでも
やるような気持ちだったのかもしれない。
孤独っていうちょっと大げさな言葉しか見あたらないんだけど、
でも別に寂しいってわけじゃない。でもときどきは、
「なんかいいことないかな」って言っちゃうような
そんな 飄とした ひとりでたってるたましい
ときたまそんなものに出逢うと、ああおんなじだと思い、
月夜の晩にのらねこの兄弟がふと寄り添うような気持ちになる
神楽坂のあの猫どもは元気かなぁ