東北気質
連休明けの月曜日は晴れ。もろもろの雑務をガッとこなして、10日締切のグラントプロポーザルにようやく本格的に着手できる。というか着手しようとするものの、ガキッとロックされて頭も手も全然動かない。プロポーザルのたぐいを書くのは我ながら下手ではないのだが、いつもたいていこのように苦しい時間を過ごして、やっと書き上げる。 今日の逃避先は、朝、トイレ脇の本棚からなんとなく引っぱり出した井伏鱒二『駅前旅館』で、「駅前シリーズ」の原作として、古本で何となく買っておいたのが発掘されたのである。語り手の「好色一代記」を軸に、旅館の番頭という文学史上ほかにあまり足跡を残していないと思われる職業の視界を様々な人物が行き来する、逃避先としてはまことに泥沼のような場所で、戻ってくるのに苦労した。
そのなかで、各地方の気質がたびたび分析されるのだが、東北にきてほぼ1年たつ僕には、東北人の描写が、ツボにはまって大いにウケたのだった。