箕面名物
連休最終日は仙台で過ごす。篠つく雨。不在の間に庭中でわしわしのびた萌葱色の草木が霧吹きで吹いたようになって、土も黒々と湿って、いい季節がやってきた。朝から庭をうろうろしながらうれしそうにあっちをいじりこっちをいじりしていたミィコは根本から葉を茂らせた紅葉に目をつけ、不要な葉を剪定し、まだ薄黄緑のぽってりしたオオデマリといっしょに玄関に生ける。それでもまだ残ったまだ若くて赤茶の紅葉(ある種の樹木の若葉は赤茶色で生育につれて緑になる)をミィコは「これ天ぷらにしようか」と言うので一般的な意味でとらえて粋なこと言うじゃねぇかと思っていたら、どうも箕面のあたりで名物として散策の客に供されているらしいことが「みのお~め~い~ぶ~つ~」というミィコ即興のへんな歌で知れた。
ユキノシタとか、葉ものの天ぷらは大好きな方なので、そう言われちゃうとどうしても食べたくなって、夕飯は天ぷらにすることにして、ナス、シイタケ、青森産のおいしそうなのが出ていたワカサギなんかと一緒に揚げてもらう。「わわここらへんがプロの技だね、(紅葉の葉の形通りに揚げるのは)網でも使ってんのかな」と言いながら、揚げたてをよこされた紅葉はくるんと丸まって形からはそれとわからなくなっていたけど、パリコリと、草の葉っぱを揚げたのとは違う歯ごたえがあって、ふりかけた塩と実によく合って、なるほど要するに箕面散策時のポテチではあったのだなぁ、ということがよく分かったのだった。