春なのに
同じ官舎で息子も同じ兄弟のように
仲良くしていた兄弟が引っ越していった。
引っ越しの朝、いつもは一緒に
じゃれあいながら登校する兄弟に見送られて
一人で歩き出した息子に途中までついて一緒に歩く。
息子は怒っているような少し泣いているような
なんとも 形容しがたい表情をして黙っている。
頭に手を置おくと乱暴に払いのけて走っていってしまった。
ついこのあいだ彼は祖父の死を目前に接して
わぁわぁ泣きながら冷たくなってゆく体を拭いた。
別れの多い春ではある。
茅原拓朗の小屋
同じ官舎で息子も同じ兄弟のように
仲良くしていた兄弟が引っ越していった。
引っ越しの朝、いつもは一緒に
じゃれあいながら登校する兄弟に見送られて
一人で歩き出した息子に途中までついて一緒に歩く。
息子は怒っているような少し泣いているような
なんとも 形容しがたい表情をして黙っている。
頭に手を置おくと乱暴に払いのけて走っていってしまった。
ついこのあいだ彼は祖父の死を目前に接して
わぁわぁ泣きながら冷たくなってゆく体を拭いた。
別れの多い春ではある。