コロシガキ

トキさんのところに、岩手の漆産地から、漆カキという仕事の紹介パンフと漆カキの技術保存講習の資料(漆カキ日誌(!))が届いたので見せてもらう。トキさんの話に、漆は樹液なので、それを全部カイてしまうと漆の木は死んでしまう、という話が出て、考えてみたこともなかったけどそりゃそうだよな、でもだから枯らさないように適度にカクってことなんだろうなきっと、と思っていると、「でね、それを『コロシガキ』って言うんやけど、この一帯のやりかたはそのコロシガキらしんですわ」と言われてびっくりする。じゃ計画的に植林してるかっていうと、それもしてないらしい。そんなら枯らさないでほどほどにして長くとればいいのにと思うのだが(それを『ヨウジョウガキ』というらしいのだが)、考えてみればそれはナマゴロシということでもあるし、「漆の質の面でもなにか違うんかもしれんなぁ」ということもあるのであろうし、それに材をとるにしたって炭を焼くにしたってコロシてるんだからおんなじことなのだが、樹液だけ、となるとよりいっそうビンボー症な反応をしてしまうのはやはり、「豊かさ」というものと縁遠い世界に生きてきたからなのだろう。『ゲームの規則』の狩りのシーンで、森からわくようにウサギだのキジだのが追い出されてくるシークエンスがあるのだが、それをふと思い出してしまった。

日日雑記

Posted by Takuro